2016-01-01から1年間の記事一覧

G3B3計算、エラー対処覚え書き

時間の経過による考え方の変化とは面白いもので、博士課程時に悩んでいた問題の解決法が今になって思い浮かんだ。 アイディアを裏付けるべくG3B3計算を行なっている。 対象はC, N, O合わせて13個+Hのそこそこ大きい分子である。 せいぜい100cpu時間くらい…

オスミウム代替試薬

二重結合のジヒドロキシル化は有機合成において重要な反応ということになっているが、立体選択的に酸化するとなると割と面倒臭い。シン付加させる場合、酸化オスミウムや過マンガン酸などの毒性が超絶高い試薬を使わなければいけないので廃液処理・保管が面…

うちの新院生らが忙しそうである

サンクスギビングの休暇が始まり、学内は人がまばらになっている。 これからクリスマス休暇にかけて、学生たちはお休みモードになるんだろう。もちろんうちのラボも。去年のサンクスギビングは休みに浮かれるというよりも「何も結果がない」という焦りのため…

DOSYを用いた溶液中分子量測定

ずいぶん前に読んだ論文。重要だなとは思っていたが、忘れかけていたのでせっかくだしここに備忘録としてまとめておく。 DOSYはよく知られている通り、拡散係数の違いを利用してNMRのスペクトルを分離する手法である。拡散係数は分子量や分子の形状によって…

Gaussian09のアウトプットファイルの整形スクリプト

このラボに入ってから最初のまとめ的な論文を書いている。実験系の1本目は先週投稿し、計算主体の2本目がだいたい終わりつつある。あとはSIまとめが主要な作業となる。論文を書く際にGaussian09のアウトプットファイルを目視して処理するのが面倒だったの…

Vimiumを使い始めた

マウス腱鞘炎が悪化してきてしまい、もうちょっと指に優しい方法でブラウジングすることができればいいなと思っていたのだが、ところで普段からVimを使って作業しているので、Wordで作業している時も:wqで保存しようとしてしまうようになってしまっているよ…

再構造最適化せずに高精度計算をかける方法

TS・IRC上でG3やCBS-QB3計算がやりたくなったのだが、単にインプットファイルにG3やCBS-QB3と書いただけでは勝手に最適化されてしまう。 これを防ぐ方法が書かれていたのでメモ。 http://glab.cchem.berkeley.edu/glab/faqs/gaussian_tips.html#G3 具体的に…

学会に参加した

渡米して初めて学会に参加した。ちなみに町から出るのも渡米後初である。 ポスター発表ではあるものの、精神的負担は結構なものだった。全て英語で発表しなければならないのは厳しいものがある。絶対に発表中に言葉が詰まると確信していたので、ポスターにそ…

化学反応を引き起こすのは駆動「力」か?

Let's Drive "Driving Force" Out of Chemistry http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ed082p827 古い論文だが、化学反応における自発的な変化に対して、Driving Force(駆動力)という言葉を使うのをやめようというお話。 著者はNorman C. Craig教授。ご専…

SCFの収束

SCFの収束の悪い系を扱っている。デフォルトだと間違ったエネルギー値が得られる。エラーが出ないので気づくのに相当時間を要した。 qcオプションは多くの場合よく動くのだが、たまにエネルギーが高い状態のまま収束して偽の解を与えてしまう。scf=(xqc, max…

Multiwellプログラムインストール時の覚え書き

mpif90がなかったのでこれ導入。 https://wiki.helsinki.fi/display/HUGG/Open+MPI+install+on+Mac+OS+X

export LIBRARY_PATH=/usr/local/gfortran/lib で通った

忘れないようにメモ

研究指導の反省

学部生を指導する事になった。 学部生の時に研究室であまり技術指導を受けた事が無かったので、何を教えればいいのか分からずかなり戸惑っている。学生時代は本や論文を読んだりして自己流の実験をせざるを得なかった(しかし基本的な反応ばかりなので、何を…

分子動力学法。起きたエラー、その解決法

Verletアルゴリズムでは影のハミルトニアンが保存されるために時間発展に伴う総エネルギーのずれが非常に小さい事が知られているが、何らかのエラー(恐らくポテンシャルエネルギーを計算する際に用いる汎関数が不連続だと思われる。実際に、ポテンシャルエ…

基底関数雑感

いまだに理論計算の汎関数と基底関数選びで悩んでいる。 論文化していないので詳しい事は書けないが、基底関数の雑感をメモ 今回使った基底関数は以下の通り。 6-31G(d), 6-31G(d,p), 6-31G(2d,p), 6-31G(3d,p), 6-31G(df,p), 6-31+G(d), 6-31+G(d,p), 6-31+…

季節を彩る基底関数

最近使った基底関数の話題。 有機化学界隈だと、基底関数というと一般的にsplit valence基底系、特にpopleの6-31Gなどがメジャーで、信頼できる魔法の呪文「B3LYP/6-31G」の一部みたいに考えられているような節があるが、Correlation-consistent基底系(cc-p…

禁酒宣言

おれは、やめるぞ、酒を。 <追記> 1ヶ月の禁酒に成功した

新年の抱負

だいぶ遅れてしまったが、今年の目標として、自分で分子動力学プログラムを書いて走らせてみることと、Pythonを使って現在使ってるプログラムを見やすく書き直してみる事を挙げてみたいと思う。 これまでの人生でプログラミングから逃げてきたので、そろそろ…

本気を出すのが遅い

本気を出すのが遅いのが自分の欠点であるが、それはともかく今回の理論選択のための予備計算で思わぬ事態が起きた。 6-31+G(d)やcc-pvdz程度ではCCSD(T)をうまく再現していなかったM06HFが、aug-cc-pvtz基底関数系を使うと最高のフィット率を叩き出したので…

計算精度

とある小分子の計算を行っている。 B3LYP、M11は小さい基底関数を使ってもそこそこいいエネルギー値を出すが、二重結合との共役を含む場合のポテンシャルエネルギー曲面をうまく再現しないようだ。その点ではM06-2Xは大きな基底関数を使わない限り定量性はな…

面白ければいいのではないか

去年は研究の主力であるNMRのデカップラーの調子が悪くて精度が出なかったり(測定のたびにデカップラーのパワーを調整している)、はたまた1ヶ月使って大量に作った化合物の反応の中間体を精査したところ、目的とする経路を経ていないから解析するに値しな…

発送ミス

爆発性の試薬を10g注文したら1000g届いた。 アメリカンサイズだ。