うちの新院生らが忙しそうである
サンクスギビングの休暇が始まり、学内は人がまばらになっている。
これからクリスマス休暇にかけて、学生たちはお休みモードになるんだろう。もちろんうちのラボも。
去年のサンクスギビングは休みに浮かれるというよりも「何も結果がない」という焦りのためか、もはや人生諦めモードで絶望していた。ボスが金を出してる訳ではないからクビを切られることはないのだけど、NMRが調子悪かったり英語が喋れなくなったりして、何も成し遂げずに帰国する覚悟が徐々に固まりつつあった。
今年の1月半ばから運が向いて来たためか、今年は3報分相当の結果が出た。まだ論文の形にして世に出したのは1本だけど。12月中にデータをまとめて投稿できたら嬉しい。基本的に自分の研究はつまらないと思っているけど、今回の結果はうちの学問分野の常識というか前提条件を根本から揺さぶる感じなので面白いと思う。
だが、今年のサンクスギビング休暇の精神状態はどうかというと、いつものことながら絶望している。
2週間ほどかけて得られた計算が非常に魅力的な現象を予測していたのだが、いざ実際に2週間ほどかけて実験してみると、それを支持する結果が得られなかった。取らぬ狸の皮算用でいろいろ妄想していたのでショックが大きい。
あと学部生がラボに来ないので結果が出ないから著者から外すことにした。
何はともあれ、この生活も2周目になった。いろんな変化があった。
ボスがでかい予算を当ててスキップしながらメンバーの居室に飛び込んで自慢しに来た夏の日以降、3人ほど新しく院生が入った。皆それぞれ特徴があり、どんな成果を出すのか今から楽しみにしている。
日本にいた頃は、アメリカの院生はお金を貰っているし羨ましいなと思っていたのだが、実際に彼らの生活を見るとそれほど単純ではないのだなと考えるようになった。彼らは多忙である。
まず、平日はTA業務に忙しい。さらに授業もある。宿題がどっさり出るので毎日夜中まで勉強している。中には自分より遅く帰る院生すらいる。さらに、土日もラボに来て何やら勉強に励んでいる。いつ休んでいるのかよくわからない感じである。今日もラボで会ったし。
だが、勉強にTAに忙しいためか、ほとんど研究は進んでないように見える。あまり研究が進んでないのを見てると、金を払うボスの立場としては「若者への投資」が主な目的なんじゃないかなと感じることがある。何はともあれ、日がな一日研究だけやってればいい自分と比べると立派に見える。
あと、給与も生活できる(+車が維持できる)ギリギリの水準でありそんなに高くないので、TAやらなくて済む上に研究費が100万近くつく学振のDCの方が研究に打ち込めるんじゃないかなと感じる。
皆忙しい上に雑用のやり方を知らないため、なんだかんだで自分が溶媒捨てや試薬の管理など雑用を一手に引き受けてしまってるのだけど、自分も数ヶ月後には任期が切れていなくなるわけだし、そろそろやり方を伝えていかないといけない。彼らの仕事がさらに増えるなあ、と思うなどしている。