オスミウム代替試薬

二重結合のジヒドロキシル化は有機合成において重要な反応ということになっているが、立体選択的に酸化するとなると割と面倒臭い。シン付加させる場合、酸化オスミウムや過マンガン酸などの毒性が超絶高い試薬を使わなければいけないので廃液処理・保管が面倒臭い(特にオスミウム)。
ちょっと全合成の論文を読んで遊んでいたら、いまだにオスミウムが現役で使われていた。さすがに2016年にもなってるんだし代替法がないものかとふと思った。
酸素ー酸素単結合を持つ有機化合物を光開裂させてビラジカルを作ってシン付加させる反応ができたら楽だなと思いちょっと調べていたところ、コンセプトは違うがNicholas C. O. Tomkinsonらのグループが2010年にそんな試薬を作って実際にシン付加、及びアンチ付加を実現していた。過カルボン酸の酸化反応と機構は一緒っぽい。

シン付加
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja1066674

アンチ付加
http://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.orglett.5b02674

芳香環も酸化してしまう (これはビラジカル経由らしい)
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.orglett.5b00953


そこそこ基質一般性も高く、使える反応なんじゃなかろうかと思う。若干収率が低いけども。
これは合成とは違う観点から見ても面白そうなので、いじってみたい。